13.自然に逆らうとしっぺ返しが怖い

椎茸生産者の上田の中村さんと電話で大雪の影響の事で話をしました。私と同年で 家族四人 本人、奥さん、ご両親で椎茸一本で生活をしています(真面目な いい男)なんでも お父さんが定年退職後に始め 本人も脱サラをしてやりだしたと 言うことです。今の時代この地域でそれをやっていくことは並大抵のことでなく 中村さん達の勉強して努力を重ねていることには ただただ頭が下がる(思いではなく)だけです。

こんな彼から 電話が入ってきたのです。
『今年の椎茸の駒菌はどうする』
『そうだ、そうだ、もう時期になるなー、また頼むわあ』 
『例のやつだずー』
『うん、そうだよ。頼むわあ』
と こんな調子で話が始まりました。椎茸専門屋の彼の家から椎茸の種駒をお裾分けして貰っているのです。どうしてかと云うと 農協にしても普通の種苗メーカーにしても買いたいと思ってみても「椎茸」として一種類の品種が売っているだけです。でもトマトに沢山の品種が有るように ただ「椎茸」と云っても 本当は沢山のメーカーが有り、生育条件に応じたそれぞれの品種が有るのです。ですから100種類以上有るのかな。
『じゃあ115だな』
『おお そうだよ』
と 厚みが驚くくらいに成る新しい品種と云われて 一昨年より作り始めているものを頼んだのです。これは初めて見る人は 兎に角その厚みに驚き そして食べてその美味しさに二度ビックリ、トマトで云えば「桃太郎」かな 食べてのお楽しみ。『所で何やってるだ、山へほだ木取りに行っているんじゃないのかい。そんなに暇かい』『この大雪だろう こんな時に山に行っても怪我でもして ろくな事無いよ、やだよ』『そうかい おいの事だからたとえ雨が降ろうが矢が降ろうが 仕事の鬼だからなあ』『なにこくだ(云うだ)、いつも云うだろう。自然に逆らうとしっぺ返しが怖い、と』

以前 「のうのうの会」の時に こんな話をやりとりした事を思い出しました。今はたとえ原木椎茸でも シイタケの発生を沢山させるために栄養剤を掛けて発生させ収量を上げている人がいる。でも俺はそんな栽培は邪道だと思っている、だってそんな事して 採ったシイタケは責任持てないよ。そうだろう原木の中に含まれている養分を吸収してあの風味になって美味しい「だし」になるんだ。そんな事すれば化学調味料を作っているのとと同じだ。消費者に判ったら そっぽを向かれてしまうよ、そして言ったのです。『自然に逆らうとしっぺ返しが怖い』と。



去年 静岡の共進会に始めて「干しシイタケ」を出品し 見事第一位になりました。市場関係者の中にはこんな産地は知られておらず 皆一様に驚いていたそうです。