半世紀、この田舎にくらしある日突然 年老いた父親が胆嚢炎で入院し 私が農業を一手に引き受けてやらなければ成らなくなりました。
両親と妻の三人、俗に言う三ちゃん農業でやっていた我が家の百姓仕事も 近隣では広い方で 篤農家の一人であった父親の入院は 春の田植えシーズンを迎えて一番忙しく、とてもショックでした
この先どうしようかと思いましたが いつかは自分がやらなければならない 時がくるのだからと 出来ないなりにやろうと 入院中の親に聞きながら 他に仕事を持ちながら 手探りで始めました。
どうにかこうにか田植えを終えて 毎朝の田の水見の繰り返しをいていたある朝 隣の田のおじさんが「あんた せっこいいない。おれもあと10回だ。」と 話しかけて来ました。せっこいいないとは 働き者だねと云うことですが、「あと10回」の言葉が 私の脳裏にひらめきを生み 大きな衝撃が 全身を駆け巡りました。
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